世界中の女性が憧れる、エルメスのケリーバッグ(Kelly)。
その洗練されたデザインと比類なき品質は、まさに時代を超えたエレガンスを体現しています。
バーキン(Birkin)と並び、エルメスのアイコンバッグとして知られるケリー。その入手困難さゆえに、さらにその魅力が増していると言っても過言ではありません。ケリーが持つ、気品あふれる佇まい、美しい外観、そして実用性の高さ。これこそが、ケリーが世界中の女性を魅了し続ける理由なのです。
この記事では、エルメスのケリーについて、その歴史から最新情報まで詳しく解説していきます。ケリーの奥深い世界を、ぜひご堪能ください。
ケリーバッグの物語:馬具工房から生まれた伝説
ケリーバッグの誕生は1930年。バーキンよりも50年も前に誕生したケリーですが、その人気は今も衰えることを知りません。まずは、ケリーがどのようにして生まれたのか、その歴史を紐解いていきましょう。
ケリーの原型「オータクロア(Haut à courroies)」の誕生
1837年に馬具工房として創業したエルメス(Hermès)。その卓越した技術と品質は、王侯貴族からも高い評価を得ていました。しかし、時代の流れとともに人々の移動手段が馬車から自動車へと変化し、エルメスは高級馬具の製造からハンドバッグや革小物の製造へと舵を切ることになります。
その第一歩となったのが、馬具である鞍を入れるためのバッグ「オータクロア」です。1892年に誕生したオータクロアは、エルメス初の婦人用バッグであり、ケリーやバーキンの原型となった伝説的なバッグです。
初代名称「サック・ア・クロア(Sac à courroies)」
1935年、当時のエルメス社長ロベール・デュマ(Robert Dumas)によって、後にケリーとなるバッグ「サック・ア・クロア」が製作されました。サック・ア・クロアは、オータクロアを改良し、婦人用バッグとして生まれ変わったものです。
台形型のフォルム、立体的なフラップ(flap)、そして装飾を一切省いたシンプルなデザイン。これこそが、ケリーの特徴的なスタイルの原点です。
グレース・ケリーとケリーバッグの運命的な出会い
サック・ア・クロアが「ケリー」と改名されたのは1956年のこと。ハリウッド女優からモナコ王妃となったグレース・ケリー(Grace Kelly)が、妊娠中のお腹をサック・ア・クロアで隠した写真が雑誌「LIFE」の表紙を飾ったことがきっかけでした。
この出来事が世界的な話題となり、エルメスはモナコ王室の許可を得て、サック・ア・クロアを「ケリー」と改名。ケリーバッグは、瞬く間に世界中の女性たちの憧れの的となりました。
ケリーバッグの魅力:エレガンスと機能性を兼ね備えたデザイン
ケリーバッグの魅力は、そのエレガントな外観だけではありません。ここでは、ケリーの特徴的なパーツや機能性について詳しく見ていきましょう。
特徴的なパーツとエレガントな外観
ケリーバッグの特徴は、なんといってもその美しい台形型のフォルムと、上品なワンハンドルデザイン。底面には4つの鋲(stud)が施されており、見た目の美しさだけでなく、強度と安定性も確保しています。
さらに、ケリーには3つの特徴的なパーツがあります。バッグとフラップを留めるベルト「クロア(courroies)」、クロアに取り付ける南京錠「カデナ(cadenas)」、そしてカデナの鍵を収納するストラップ「クロシェット(clochette)」です。これらのパーツが、ケリーのエレガントな外観をさらに引き立てています。
ショルダーストラップ:機能性と快適さを追求
ケリーバッグには、1985年以降、ショルダーストラップが付属するようになりました。バーキンとは異なり、外ポケットがないケリーにとって、ショルダーストラップは機能性と快適さを向上させる重要な要素です。
ショルダーストラップは25cm以上のサイズのケリーに付属しており、ハンドルの付け根の金具に装着することができます。これにより、荷物が多くても両手を自由に使えるようになり、利便性が格段に向上しました。
内縫いと外縫い:異なる表情を楽しむ
ケリーバッグには、内縫いと外縫いの2種類の縫製方法があります。
- 内縫い: 縫い目を内側に隠すことで、革本来の質感を際立たせた、丸みのある柔らかなフォルムが特徴です。カジュアルなシーンにも合わせやすく、普段使いに最適です。
- 外縫い: 縫い目を表に出すことで、よりシャープでフォーマルな印象を与えます。かっちりとしたフォルムが美しく、特別な日にふさわしい風格を漂わせます。
多彩なバリエーション:自分だけのケリーを見つける
ケリーバッグは、豊富なサイズ展開だけでなく、素材やカラーバリエーションも豊富です。定番のトゴ(Togo)やトリヨンクレマンス(Clemence)、上品なボックスカーフ(Box Calf)、鮮やかなヴォー・エプソン(Epsom)など、素材によって異なる表情を楽しむことができます。
また、ケリーアド(Kelly Ado)やケリードール(Kelly Doll)など、ユニークなデザインの限定モデルも登場し、コレクターたちの間で高い人気を誇っています。
ケリーバッグのサイズ展開:用途に合わせて選ぶ
ケリーバッグは、様々なシーンや用途に合わせて選べるよう、豊富なサイズ展開がされています。
- 20cm: 超レアなミニサイズ。アクセサリー感覚で楽しめる可愛らしいサイズです。
- 25cm: コンパクトながら長財布も収納できる実用的なサイズ。
- 28cm: デイリーユースに最適な人気サイズ。和装にもよく合います。
- 32cm: 定番中の定番サイズ。ファーストケリーとしてもおすすめです。
- 35cm: A4書類も収納できるビジネスシーンにも活躍するサイズ。
- 40cm: 1泊2日の旅行にも対応できる収納力。男性にも人気です。
- 50cm: 非常に希少な最大サイズ。旅行用や男性の普段使いに。
ケリーバッグの素材:最高級の革を楽しむ
ケリーバッグには、様々な素材が使用されていますが、ここでは特におすすめの4つの素材をご紹介します。
- トゴ: エルメスを代表する定番素材。柔らかく、傷が目立ちにくいのが特徴です。
- トリヨンクレマンス: トゴよりもさらに柔らかく、ファーストケリーにおすすめです。
- ボックスカーフ: きめ細かく上品な光沢が美しい、フォーマルなシーンにぴったりの素材。
- ヴォー・エプソン: 発色が良く、型崩れしにくい丈夫な素材。
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